このコラムは2013年に執筆し、2020年に加筆・修正を加えたものです。
“ナンジャモンジャ”は“なんてもんじゃ”?
白鳥幼稚園の近くに、白鳥庭園という日本庭園があります。3.7ヘクタールの広さがある白鳥庭園はとても美しい庭園なのですが、美しいのはそれだけではありません。
この庭園沿いの道はヒトツバタゴの並木道となっていて、夏になるとその花がいっせいに開花します。樹冠を覆うように咲く白くて小さなその花は、まるで新緑の季節に降る雪のような印象を受け、その並木道にはとても幻想的で美しい風景が広がります。
このヒトツバタゴですが、みなさんの中には“ナンジャモンジャ”という名前の方が馴染みの深い方が多いのではないでしょうか?それでは、いったいなぜヒトツバタゴはナンジャモンジャと呼ばれるようになったのでしょうか?
ヒトツバタゴとは?
ヒトツバタゴは、モクセイ科ヒトツバタゴ属の落葉高木で、日本から東アジアに多く分布しています。ヒトツバタゴという名前は、江戸時代に現在の愛知県にある尾州二ノ宮山中でこの木を発見した、名古屋の本草学者・水谷豊文により名づけられたと言われています。
由来は、その近縁のトネリコ属がみな複葉であるのに対し、これは単葉である(=ヒトツバ)ということから、トネリコの方言の「タゴ」と組み合わせて命名されたと言われています。成長すると10mにも達する高木で、前述したように雪のような白い花が開花するとその姿はとても美しいものとなります。
ちなみに、ヒトツバタゴの英名は”Chinese fringe tree”と言います。『fringe』とは『ふさ飾り(状のもの)』を指しますが、ヒトツバタゴの花を見るとフワフワしていて納得ができますね。
図鑑でヒトツバタゴを調べてみると、その別名として“ナンジャモンジャ”と紹介されています。ナンジャモンジャとはもともと、その土地には珍しく誰も名前を知らない植物のことを指す総称・呼称で、全国に何種類もの“ナンジャモンジャ”と呼ばれる植物があります(クスノキ、イヌザクラ、ハルニレ等)。
ヒトツバタゴが特にナンジャモンジャとして有名な由来は、明治神宮外苑にあったこの木の名前がわからず、当時の人たちがその木(ヒトツバタゴ)のことを“ナンジャモンジャ”と呼んでいたことが広く伝わっていった、ということのようです。
明治神宮外苑のナンジャモンジャにはその由来が紹介されているそうなので、もし機会がありましたらぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。また、ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)は、日本でも特に愛知県・岐阜県付近に多く生息しているので、その美しい姿を巡ってみるのもいいかもしれませんね。
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